2023年6月11日日曜日

【レポート】NTTドコモの事業再編で今後どうなる?NTT系のインターネットサービスプロバイダー「OCN」「plala」「ドコモnet」

記事公開日:2023年05月26日(金)
最終更新日:2023年06月11日(日)


【おことわり】
本ページは今後、NTTドコモ関連の事業再編やインターネットサービスプロバイダー「OCN」「plala」「ドコモnet」に何らかの動きがあった場合、記事の追記や修正をすることがある。


当記事はドコモ事業再編の流れや今後のISPの動向予想がメイン。

2023年7月1日で事業再編とISPの整備が一段落したため、『【レポート】NTTドコモの事業再編でどうなった?NTT系のインターネットサービスプロバイダー「OCN」「plala(ぷらら)」「ドコモnet」』と題し、 こちら その後NTT系のISPがどうなったかを新たに記事にした。

2020年9月29日、NTT本部(以下NTT)がNTTドコモ(以下ドコモ)の株式上場を廃止し完全子会社化を発表。

同日NTTが公表した「NTTドコモの完全子会社化について」のプレゼンテーション資料に、「NTTドコモを完全子会社化した上で、NTTコミュニケーションズやNTTコムウェアのNTTドコモへの移管など、グループ会社との連携強化について検討していく考え(原文まま)」と記載があった。

ドコモを中心としたNTTグループの事業再編を行うというのである。

そこで疑問を持ったのは、NTTグループ内にある複数のインターネットサービスプロバイダー(以下ISP)の行方はどうなるの?ということである。

NTTグループ内には、「OCN」「plala(ぷらら)」「ドコモnet」や、それらに比べると少しマイナーな「mopera U(モペラ ユー)」など複数のISPがある(他にはNTT MEが運営する「wakwak(ワクワク)」、NTTPCコミュニケーションズが運営する法人専用の「InfoSphere(インフォスフィア)」がある)。

このドコモ完全子会社化方針の発表時点(2020年9月時点)では、「ドコモnet」「mopera U」はドコモ、「OCN」はNTTコミュニケーションズ(以下NTTコム)、「plala」はNTTぷらら(以下ぷらら)が運営していた。

もし上述の資料の通りに「NTTコムがドコモへ移管」されたとすると、元々ドコモ直営の「ドコモnet」「mopera U」に加え、「OCN」の運営会社もドコモになるため、同じ企業内に3つのISPが存在することになるのではないか?

ただし「mopera U」は、「ドコモnet」が開設された2015年3月(ドコモ光開始と同時に提供開始)よりもずっと前の2005年6月1日(mopera Uの前身のmopera時代を含める場合は1998年)からあるISPで、光回線などの固定回線よりもモバイルデータ通信向けのISPのイメージが強いため、「OCN」「plala」「ドコモnet」とは少々異なる面を持つ。

一応「mopera U」にも、フレッツ光・フレッツADSL回線に対応した固定回線向けのプランはあるのだが、ドコモ光が開始された時に専用ISPとしては活用されなかった。

新たに「ドコモnet」を開設させた点を見ると、現状の「mopera U」の設備やシステムでは対応できないか、ドコモ光向けISPとは差別化して運営していくと判断されたのだろう。

この状況から、推測に過ぎないが「mopera U」は光回線以外のモバイルデータ通信を中心としたISPとして残すか、いずれは固定回線は「OCN」などのISPと統合させ、モバイルデータ通信はドコモのスマートフォンなどに提供されている専用ISP「SPモード」に統合の上、畳むかのどちらかだろうと感じた。

なので「mopera U」は除外し、「OCN」「plala」「ドコモnet」の3つのISPで考えたいと思う。

同じ企業内に複数のISPが存在しても問題はないが、運営側の視点で見ると、同じ企業内に同じ役割を持つ複数のサービスが並行運用し続けるのは効率が悪すぎる。

ドコモ共通のISPとしてブランドを1つにし、設備もシステムもいずれは統一した方が体制がスリムになりコストも削減できるだろう。

どちらかといえば、ユーザー側の方が問題に感じるかもしれない。

ドコモ完全子会社化以降に予定の事業再編により、「OCN」「ドコモnet」双方のユーザーにとっては運営会社が同じドコモになることで、ブランド名もサーバー等の運用システムもどちらかに統合され、接続設定の変更(インターネット接続ID等の変更)が必要になったりしないかとか、契約プランや料金はどうなるのかとか・・・色々不安になるだろう。

特に「OCN」の場合はほぼISPのみの提供の「ドコモnet」とは違い、オプションサービスが多い。

オプションサービスが継続して提供されるかどうかの心配もあるだろう。

システム更改のタイミングがあるため、両ISPのシステムをいきなり統合というのは無理だが、いずれは統合されるのでは?と考えるのは自然なことだ。

一部の個人の方のSNSやブログで『「ドコモnet」は「OCN」の設備を間借りしているISP(2次ISP)なので共通の設備だ』という記述を見かけるが、「ドコモnet」の公式ページにはそれらしい記載はない。

ただ、「OCN」と「ドコモnet」の回線工事や故障の情報を比較すると、内容が完全に一致していることから、両ISPが関連があることは何となく感じることができる。

当ブログでは、公式に記載・発表されていない情報は仮定とする。

もし「OCN」と「ドコモnet」が同じ設備・システムならば、統一のブランド名に変えることくらいは容易だろう(やるかやらないかはドコモ次第)。

ドコモが提供するInternet接続サービスという意味では「ドコモnet」がわかりやすいブランド名だと思うが、知名度や会員数(730万人以上で日本最大のISP)は「OCNOpen Computer Networkの略)」の方が圧倒的に上で、運用歴も「ドコモnet」より20年近く長い(OCNは1996年12月、ドコモnetは2015年3月開始)。

いずれにせよ、ブランド名が消滅することになれば、消滅する側のユーザーにとっては複雑な話である。

接続IDやメールアドレスのドメインは「OCN」と「ドコモnet」は全く異なるが、同じ設備やシステムで運用しているのが事実なら、そこは支障なく運用できるのだろう。

それならば、双方のブランド名を今後も維持して運用できる。

ちなみにIPoE方式のIPv6接続やIPoE(IPv4 over IPv6)接続に関しては、「OCN」「plala」「ドコモnet」共に「OCNバーチャルコネクト」という共通の規格を利用しており、ドコモ光の各ISPの概要ページで確認することができる。

IPoE方式のIPv6接続やIPoE(IPv4 over IPv6)接続に限れば、NTT系の主要ISPは既に共通化が完了しているのだ。

「OCN」「plala」「ドコモnet」は当初、インターネットマルチフィード社(以下IMF社。ISP「IIJ」やNTTグループ各社が出資する企業)の「transix」というサービスを使ってIPoE方式のIPv6接続やIPoE(IPv4 over IPv6)接続を提供していた。

だが、「OCN」を運営するNTTコムが「transix」に相当する「OCNバーチャルコネクト」を開始し、「OCN」ユーザー向けに標準提供するようになった。

NTTグループ各社も出資しているとはいえ、他社であるIMF社の設備から完全に自社グループ内(NTTコム)の設備・運用に切り替えたのだ。

その後、「plala」「ドコモnet」も足並みを揃えるように「transix」から「OCNバーチャルコネクト」に切り替えた経緯がある(現在、「OCN」「plala」「ドコモnet」ユーザーでIMF社の設備を利用しているのは、「OCNバーチャルコネクト」提供前から「transix」を利用しているユーザーと、「plala」で「PLALA GGGG光オプション」を利用しているユーザーに限られている)。

さて、NTTグループの事業再編の話に戻す。

ドコモは2020年12月25日に上場廃止となり、同年12月29日に予定通りNTTの完全子会社となった。

NTTは同年12月25日、「NTTドコモ完全子会社化後の連携強化に関する検討の方向性」を公表し、NTTコムやNTTコムウェア(以下、コムウェア)をドコモの子会社にし、それぞれの会社の機能を整理することを発表。

なおこの資料は報道発表資料ではなく、総務省への説明のために作成されたもので、同省のホームページで閲覧可能である(2023年5月26日現在)。

その資料の中で、第1段階として2021年夏頃にNTTコムとコムウェアをドコモの子会社にし、第2段階として2021年春から夏頃にドコモとNTTコムの機能の整理を行うとした。

これにより、「OCN」がドコモによる運営となる可能性がさらに高まった。

しかし2021年3月10日、週刊文春の電子版がNTTと総務省の接待問題を報じた。

その件との関連は不明だが、資料に記載されていた「2021年夏頃」になっても動きはなく・・・。

週刊誌報道から7ヶ月以上が経過した2021年10月25日、ドコモが「新ドコモグループ中期戦略」(以下、ドコモ中期戦略)を公表し、2022年1月1日付けでまずはNTTコムを完全子会社化、コムウェアを子会社化(株式保有率:ドコモ66.6%、NTT33.4%)することを発表。

予定の日付け通り、両社は子会社化されドコモグループになった。

さらにドコモ中期戦略では、それ以降のスケジュールも示された。

2022年第2四半期(7月から9月まで)に既に完全子会社であるぷらら(2019年7月1日にひかりTVなどの映像配信部門の強化を目的にドコモの完全子会社化)をドコモ本部に吸収合併させ、ドコモ・システムズ(ドコモの基幹システムの開発など)はコムウェアに統合、さらにNTTコムの個人向け事業(ISP事業「OCN」やMVNO事業「OCNモバイルONE」など)をNTTレゾナント(以下レゾナント。検索サイトgoo、インターネットショッピングgooストア・NTT-X Storeなどを運営)へ移管した上でドコモの完全子会社に、NTTコムには法人向け事業のみを残しネットワークをドコモ本体へ提供、ドコモの法人向け事業をNTTコムへ移管することが発表された。

NTTコムは個人向け事業から完全に撤退し、ドコモの法人部門専門の会社に。

ISP「OCN」はドコモ直営とはならないが、共にドコモのグループ会社(完全子会社)となる予定のNTTコム(法人向け)、レゾナント(個人向け)が運営する形となり、「plala」はぷららがドコモ本部に吸収合併されるためドコモ直営になることが決まった。

2022年5月26日、ドコモ・ぷらら・NTTコム・レゾナントの各社が一斉に報道発表。

同年7月1日付けで、「OCN」「OCNモバイルONE」の個人向け事業をNTTコムからレゾナントへ移管し、レゾナントをドコモの完全子会社に、ぷららは同日ドコモ本部へ吸収合併し(ぷららの社名は消滅)、ドコモ内に新設される「スマートライフカンパニー」という部署が引き継ぐ方針とした。

これらは予定の日付け通りに実施された。

「OCN」「plala」ともブランド名、サービス内容・料金はすべて前運営会社の条件のまま引き継がれた(変化があったのは2022年6月30日をもって「ぷらら光」の新規受付を終了したことくらい。既存ユーザーについては提供とサポートを継続)。

「plala」と「ドコモnet」は同じドコモ内で肩を並べているが、今まで通り別々のISPブランドとして提供されている状況が続いている(2023年5月26日現在)。

これでようやく落ち着いたかと思われたが、2023年5月25日にドコモとレゾナントが報道発表。

同年7月1日付けでレゾナントをドコモ本部へ吸収合併させる方針。

レゾナントをドコモの完全子会社にしてちょうど1年(以前はNTTコムの完全子会社だった)、今度はドコモ本部へ完全に取り込みレゾナントの社名は前年のぷららと同様に消滅することが決まった。

これでついにISP「OCN(個人向け事業)」もドコモ直営となり、既にドコモ直営である「plala」と「ドコモnet」と完全に肩を並べ、ドコモ内に3つのISPが存在することになった。

今のところ、それぞれのブランド名や提供条件等の変更は発表されていない(2023年5月26日現在)。

2023年5月27日、「plala」の契約情報や料金等が確認できる「マイページ」がリニューアルされた。

「OCN」「ドコモnet」の契約情報ページは特に変更なし(2023年6月1日現在)。

いずれ、「OCN」「ドコモnet」も新しくなった「plala」の契約情報システムに合わせるのだろうか?

それともドコモ内に入っても、従来どおり独立した設備とブランドのままずっと並行稼働でいくのだろうか?

3つのISPが同じ企業内に存在するとなると、いずれは統合・・・という思いが以前より増して強くなってくる。

当面は運用システム更改時期の都合やユーザーの混乱を考慮して別々のブランドで行くと思うが(「plala」統合時の事例を見ても)、2019年以降は毎年のように事業再編の動きがあるドコモグループ内を見ていると、さらなる動きがあっても不思議ではない。

推測に過ぎないが、また1・2年以内(2023年基準)に動きがあったりしないだろうか・・・。

コスト削減の観点でも、システム更改のタイミングで段階的に統一化させ、将来的にはNTTグループ内共通のISPブランド、少なくともドコモ内共通のISPブランドとして一本化していくのではないかと予想する。

2023年7月1日以降、特にややこしいのがドコモ光+ISP契約を新規でする人である。

ドコモ光契約前の時点で、既に「OCN」または「plala」とISP契約があるユーザーにとっては、設定や環境そのままでドコモ光に移れるのでメリットだろう。

しかしドコモ光をこれから新規で契約し、かつISP選びもこれからというユーザーにとっては、提供しているオプションサービスの違いとか余程のこだわりでもない限り、同じ運営会社のISPが3つもあると迷うだろう。

今後、「OCN」と「plala」にISP契約がないユーザーがドコモ光+ドコモ運営のISPを選ぶ場合は、「ドコモnet」(「OCN」+「plala」+「ドコモnet」統一ブランドとして違う名前にすることもあるかもしれない)しか選べないようにするのもありだろう。

そしてドコモ光以外のユーザーに関しても、ドコモ運営のISPと新規契約する場合は「ドコモnet」にし、「OCN」「plala」は既存ユーザーのみに継続提供というのもありではないだろうか?

同じNTTグループとはいえ、元々はブランドも運営元・設備も別々だったISPが、グループ内の事業再編で一緒に・・・。

企業内の様々な事情があるのは理解できるが、ユーザーが混乱する事態だけは回避していただきたい。

一体、どうなるだろうか。

当記事冒頭でも書いたが、ドコモ事業再編とISP整備は2023年7月1日で一段落したと思われるため、 こちら で記事にしている。

当記事の予想がどれだけ当たったか・・・。

0 件のコメント:

コメントを投稿