記事公開日:2026年06月27日(土)
NTT系のインターネット光回線(以下、光回線)開通時の注意点について書きたいと思う。
NTT系の光回線は大きく分けると、NTT東日本・西日本(以下、NTT東西)が提供している「フレッツ光」と、NTT東西が光回線を事業者へ卸売している「光コラボレーション(詳しくはこちら。以下、光コラボ)」(ドコモ光・SoftBank光・ビッグローブ光などが相当し、他にも多数あり)の2つある。
これら光回線を乗り換えで申し込む場合(フレッツ光←→光コラボ、光コラボ←→他光コラボ)、光回線の工事は不要にも関わらず(ただし1Gbpsから10Gbpsへ切り替える場合は工事要)、なかなかインターネットに接続できないという報告をちょくちょく聞く。
説明書には「電源を入れて待つだけ。お客様の方では設定不要。」と書かれている(ただし自ら市販の通信機器を設置する場合は対応情報を要確認!)。
ひたすら待っているが、いつまでも経ってもつながらない(数日から酷い人だと1週間単位)。
説明書を何度も確認するが、機器の設置に間違いは見当たらない(自ら市販の通信機器を設置する場合は提供事業者の通信仕様を満たしているか要確認を!)。
仕方なくカスタマーサポートに連絡したが、「光回線に通信異常は見られない。機器の接続方法にも間違いはない。開通までもう少し待ってほしい」と言われ解決しなかった。
全くの新規で光回線を敷設したユーザーならまだ分かるが、既に光回線は敷設済みで物理的な工事不要のユーザー(NTT系光回線内の乗り換え:フレッツ光←→光コラボ、光コラボ←→他光コラボ)の間でも起こっているのだ。
工事不要の場合は単に光回線の契約相手を変更するだけで、書面上の手続きのみで済む話のはずだ。
一体、何に時間を要しているのか?
簡単に言うと提供事業者側の手続き・情報処理に時間を要している。
従来のNTT系光回線ではPPPoE接続といって、各ユーザーが通信機器に接続用IDとパスワード(以下、接続情報)を入力設定し、認証されることでネット接続が可能になる方式を採用していた(通販サイトなど会員制サービスでログインする感覚に近い)。
機器設定が苦手なユーザーにとってはハードルが高かった一方、設定さえ終われば直後からすぐにネットが使えた。
これが2017年・2018年頃から、IPoE(IPv4 over IPv6)接続といって、その接続方式に対応した機器さえ設置すれば電源を入れるだけで提供事業者が手続きから機器設定・認証までの全てを自動でやってくれる方式を採用するケースが増えた。
今では10Gbps回線を中心に標準スタイルになっている(1Gbps回線では従来のPPPoE接続も提供、またはPPPoE接続・IPoE接続の両方を提供、PPPoE接続・IPoE接続の併用を認めている事業者もある)。
ユーザー側にとっては設定の手間が省かれる一方、提供事業者側がいつ情報処理をするか把握できないため、ネットが使えるタイミングが分からないという難点があるのだ。
何とかならないのだろうか?何故手続きをもっと早くできないのだろうか?
IPoE(IPv4 over IPv6)接続特有の事情がある。
PPPoE接続は数百社とあるインターネットプロバイダー各社(ネット接続全般の手続き・サポートをする会社。以下、プロバイダ)が接続情報を発行し直接ユーザーへ提供しているが、IPoE(IPv4 over IPv6)接続はNTT東西から承認を受けた一部事業者(最大16社しか参加できず、現状の参加者は10社)しか提供できない狭き門のため、PPPoE接続とは違ってどの事業者も直接ユーザーへ提供できるわけではない。
そのため、直接IPoE(IPv4 over IPv6)接続の提供ができない事業者は提供可能な事業者と契約し、その都度ユーザーに代わって手続きの手配をしており(手続きから開通までの全てを自動化している事業者もある)、直接提供している事業者よりはタイムラグが発生することもある。
またかなり以前からNTT系光回線を利用しているユーザーで、IPoE(IPv4 over IPv6)接続自体を初めて申し込む場合は、まずは同接続には絶対必要となるNTT東西の「v6オプション」というオプションサービス(月額料金無料)へ申し込む必要がある(近年では新規申し込みのユーザーは最初からv6オプションが有効になっているので手続き不要)。
v6オプションの申し込み手続きは提供事業者がNTT東西へ代行してくれるが、IPoE(IPv4 over IPv6)接続はこのオプションサービスが有効になってからでないとできないため、v6オプションの申し込み→完了→IPoE(IPv4 over IPv6)接続の申し込みという段階的な手続きが必要となるので、もう少し日数を要するかもしれない。
またIPoE(IPv4 over IPv6)接続の仕様の問題もある。
IPoE(IPv4 over IPv6)接続は複数社と契約できない。
PPPoE接続の場合は複数のプロバイダーと契約でき、例えば同じ場所で同一光回線でも仕事用とプライベート用で通信の使い分けて同時利用が可能だが、IPoE(IPv4 over IPv6)接続の場合は1光回線につき1事業者としか契約できない。
そのためNTT系光回線内で乗り換える場合で、乗り換え前も乗り換え後も事業者がIPoE(IPv4 over IPv6)接続を提供している場合は、乗り換え前の事業者側の同接続が切れてからでないと、乗り換え後の事業者側が開通手続きを行えない。
IPoE(IPv4 over IPv6)接続は、接続も切断もユーザー側が通信機器で操作できる部分ではないため、ひたすら待つしかなく開通時と同様、前事業者の接続が切れるタイミングもまた全くわからないのだ。
例えばNTT系光回線内で乗り換える時に、乗り換え前の事業者とは月末で契約が終了するとする。
PPPoE接続の場合なら自ら設定は必要だが、乗り換え後の事業者の接続情報さえ届けば前事業者の接続を切断し、乗り換え後の事業者の接続情報を通信機器に設定した時点で切り替えは完了できるため、タイミングは自分で調整できる。
ところがIPoE(IPv4 over IPv6)接続は前事業者との契約終了の月末と同時に切断処理が完了するとは限らず、特に直接IPoE(IPv4 over IPv6)接続を提供していない事業者の場合は解約手配でも多少のタイムラグが起こるため、月が変わり乗り換え後の事業者との契約が始まってからも前事業者のIPoE(IPv4 over IPv6)接続が続いていることも珍しくないのだ(前提供事業者側の都合なので追加料金は不要)。
2・3日で接続が切れたという報告もあれば、1週間以上経ってもまだ切れていないという報告もある。
この場合はまだネット接続自体はできるので良いかもしれないが、いつ切断されるか分からないのは非常にストレスだ。
一番困るのは外出する直前まではネット接続できていたのに、帰宅したら接続できなくなっていたというケース(そのタイミングが深夜だと最悪)。
これは外出している間に前事業者のIPoE(IPv4 over IPv6)接続の解約処理が完了したということだ。
これで乗り換え後のIPoE(IPv4 over IPv6)接続の手続きが進める状態にはなるが、ここも問題で、乗り換え後の事業者が前事業者の接続が切れたことを確認・把握するのがどのタイミングかということだ。
確認作業が遅ければ、また数日ズレることになりネット接続できない期間も長引くことになる。
一番良いのは自己申告。
ネット接続できないことに気づいた直後にすぐ乗り換え後の事業者のカスタマーサポートに連絡するか、ウェブで申し込み可能なのであればモバイル回線などからIPoE(IPv4 over IPv6)接続申込みの手配をすることだろう。
それでも接続処理完了に2・3日程度待たされるケースもあると聞いている。
一番対応が早い事業者だと、申込み手続きから30分〜2時間の間で自動的に完了するところもあるので、事業者によって差があるように感じる。
中には前事業者側に連絡し、IPoE(IPv4 over IPv6)接続を早く切断するよう要請するユーザーもいるようだが、自動的に切れるまで待つよう言われることもあるようだ。
特に直接IPoE(IPv4 over IPv6)接続を提供していない事業者だと、同接続提供事業者へ解約手配をしていても、どのタイミングで処理するかは提供事業者次第のため、それ以上のことは言えない事情もあるのだろう。
IPoE(IPv4 over IPv6)接続の申し込み処理の迅速化や改良が必要だと思う。
仕様や大幅なシステム変更が難しいのであれば、IPoE(IPv4 over IPv6)接続が完了するまでの期間限定でも良いから、PPPoE接続を認めてユーザーに接続IDとパスワードを発行してはどうだろうか。
最後にユーザー側に問題があったというケースも紹介しておく。
通信機器をNTTや提供事業者からレンタルせず、自ら市販のものを用意しているユーザーもいらっしゃるだろう。
そんな方に多いのだが、そもそもその通信機器がIPoE(IPv4 over IPv6)接続に対応していなかったというパターン。
IPoE(IPv4 over IPv6)接続はPPPoE接続とは違い、どの通信機器でも対応できるわけではなく、「IPoE(IPv4 over IPv6)接続対応!」のものでなければならない。
しかもIPoE(IPv4 over IPv6)接続は各提供事業者によって規格が異なるため、ただ「IPoE(IPv4 over IPv6)接続対応!」と書いているだけでは不十分で、きちんと利用先の提供事業者のIPoE(IPv4 over IPv6)接続のタイプに対応しているか確認する必要がある。
IPoE(IPv4 over IPv6)接続は昔からある通信方式ではないため、市販で古い通信機器の場合は非対応なものもあるので注意。
通信機器を全てNTTなど提供事業者から直接レンタルする場合は大丈夫だが、自ら市販の通信機器を準備する場合は意外とIPoE(IPv4 over IPv6)接続に対応していない機器だった((もしくはIPoE(IPv4 over IPv6)接続には対応しているが、契約した事業者が提供しているIPoE接続の規格には対応していなかった))というオチもあるので要確認を!