2020年9月3日木曜日

経営判断を急いだ弊害か?2つの企業の窓口の温度差

記事公開日:2020年05月09日(土)
最終更新日:2020年09月03日(木)


サービス内容について聞きたいことがあったため、とある企業のサポート窓口に電話をした。

2日連続で問い合わせすることになったのだが、両日とも電話に出るなり声が非常に暗く無愛想で若干苛立ち気味とさえ感じられるオペレーター(同一人物ではない)だった。

直前に質の悪い客の応対をしたのだろうか。

ちなみに今回の問い合わせは、個人情報を告げる必要のないものだったため、相手はこちらのことを知らない。

こちらが質問しようとするとオペレーターが重ねるように話してきて譲ろうともしないので、話が進まず相当焦っているように感じた。

その企業が提供するサービスは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19、以下コロナ)が広まって以降、在宅向け部門の需要が急増している。

仕事・勉強・娯楽のいずれにも欠かせない存在なのである。

そのため、サポート窓口への問い合わせや申込みが増えていることはある程度想像できた。

一方、サポート窓口はウイルス感染拡大防止の観点から、オフィス内の出勤社員を減らして少人数体制で運営しているところが増えている。

需要は伸びているのに受け皿は縮小している状況のため、恐らく社員一人あたりの負担が増えていているのだろう。

また1日あたり1人何件応対して何件解決に導いたか、各オペレーターに課されるノルマもあるのだろう。

すると1件でも多くの客を捌き、1分1秒でも速く解決させたいという思いは当然出てくる。

オペレーターのせいではなくコロナのせいであることは言うまでもなく、異例の体制を強いられているサポート窓口には同情できる部分もある。

今回問い合わせた企業は、他社とは異なった特有の事情もあるので書いておく必要がある。

同業他社に事業を譲渡したのだ(無償譲渡ではなく売却と思われる)。

正確には事業全体が譲渡されたのではなく、いくつか提供されているサービスの1つが譲渡された。

私が利用していたサービスがまさに事業譲渡の対象だったのだ。

譲渡後(売却後)は譲受側(買収側)の企業が運営を行ったり、社員ごと引き受けて運営を継続することが多いが(社員ごと引き受ける条件付きの譲渡の場合もある)、今回の譲渡ではサポート窓口は新運営会社からの委託により旧運営会社が譲渡対象者専用の窓口を新設して運営している(新運営会社の担当者が言っていた。ただし表面上は新旧どちらの企業設置の窓口かの記載はなく「○○コース会員専用サポート窓口」と表記するのみである)。

利用者にとってはどんな運営形態であれ、きちんとサポート窓口として機能し、最終的に解決に導いてくれれば良い話だ。

少なくとも譲渡前からのサービス水準や価格を維持すれば苦情はないだろう。

今回の譲渡では、サービス内容・価格ともに譲渡前と全く同じ条件で継続利用できるため、利用者側の手間や費用負担は一切発生していない。

変わったことと言えば、旧運営会社が「サービスを事業譲渡することになり運営会社が変わる」という主旨の挨拶状を送付してきたことと、新運営会社が会員証(譲渡前と契約内容は変わらないため、新しい運営会社の様式の書類に旧運営会社から引き継いだ情報をそのまま転記しただけのもの)を送付してきたことくらいだ。

利用者側から見れば、いつの間にか企業間で譲渡・譲受の手続きが行われたという感じ。

サポート窓口の運営を旧運営会社が引き続き担当しているのは、サービス内容やユーザーの利用環境が譲渡前と変わっていないため、これまでのノウハウを持っている旧運営会社の方が新運営会社よりも円滑に運営できると判断したのだろう。

新旧企業間の引き継ぎミスで振り回されるケースはよくある話なので、非常に賢明な判断だったと思う。

新運営会社が旧運営会社へ委託料を支払い、サポート業務のみをフォローしてもらっているものと思われる。

ただ、旧運営会社もオペレーター業務は専門会社に委託しているので、新運営会社 → 旧運営会社 → オペレーター業務専門会社(以下、オペレーター会社)という流れになり、委託の委託という形態になっている。

譲渡時にそういう点も含めて契約締結したのだろう。

新運営会社もサポート窓口を設置しているが、問い合わせ対象となるのはサービスの新規申し込みと新運営会社が新たに提供するサービスの部分のみとなり、旧運営会社から引き継いでいるサービスは対象外である。

話を初めに戻すが、今回の問い合わせをする前に新運営会社のサポート窓口に先に連絡を入れた。

用件を伝えたところ、旧運営会社からのサービスになるとのことで、例の専用窓口(○○コース会員専用サポート窓口)を紹介されたわけだ。

ただ、新・旧運営会社の窓口の温度差を感じた。

旧運営会社の窓口の印象は本記事冒頭で述べた通りだが、新運営会社の窓口は正反対で非常に声が明るく案内も親切だった。

話もゆっくり聞き取りやすく、こちらが話している時も話し終えるまできちんと聞いてくれて論点整理もしっかりしていた。

オペレーターの激務は理解できるのだが、この企業間の対応の差は何だろうか。

1回だけなら、たまたま当たったオペレーターの対応が悪かっただけで片付けられるが、2日連続でしかも1日目とは違うオペレーターだったのに同じような雰囲気で不親切だった。

そこで思ったのが、一部サービスの会員のみ他社へ譲渡したということは、そのサービスは不採算で、厄介なサービスの利用者という位置付けになっているのではないかと。

何故そんな風に受け止めるのか?

実は私は旧運営会社とはもう1件契約を持っている。

それはこの譲渡対象には含まれなかったので、引き続き旧運営会社と契約しているのだが、窓口はいつもとても親切なのだ。

旧運営会社自体の応対には問題ない印象なので、厄介なサービスの会員と位置付けられているか、委託オペレーター会社の社員教育の問題なのではないかと感じる。

旧運営会社の通常窓口と、譲渡コース専用窓口のオペレーター会社が一緒かはわからないが、もし別々のオペレーター会社だったとすればオペレーター会社自体の社員教育の問題だし、同じオペレーター会社だったとすれば部署の責任者の社員教育の問題だろう。

あと譲渡発表当時、突然のことだったので色々と内部でシステム的な部分で体制が整わず、混乱が続いていることも想像できる。

旧運営会社が事業譲渡を発表したのは、事業譲渡予定日の僅か1ヶ月前のことで、公式ホームページのプレスリリース(報道発表資料)にて発表した。

その後、数週間かけて対象の利用者に対して書面郵送で通知。

「事業譲渡にあたり契約内容等の個人情報を新しい運営会社に継承するので、同意できない人は弊社が指定する期日までにサポート窓口へ電話で申し出てほしい(申請受付は電話のみしか受けないとのことだった)。」と。

特に申し出がなければ、自動的に新運営会社に譲渡され、契約内容が継承されるとのことだった(将来的に契約内容が変更になる可能性はあるが、その場合は十分な期間をもって旧運営会社と新運営会社の双方から事前告知するとのこと)。

ただこの1ヶ月の猶予期間というのは、私のように報道発表の当日に知った利用者に与えられた期間である。

書面が届いて初めて知った人にとっては、ホームページでの報道発表からさらに数週間が過ぎているので、実際には1・2週間程度しか猶予期間がなかったと思われる。

かなり急いで譲渡を決めた感じがした。

気になることがあったので譲渡される前に確認しておこうと、書面に記載されていた窓口(旧運営会社側)に問い合わせをしたが、当時の窓口は混乱気味で「どの部分を譲渡してどの部分を残すのか、細部まで決定していない項目がまだいくつかある。上層部からはまだ詳しい情報が届いていない。」と言われた。

結局、「お客様のお申し出の件は、上層部からまだ報告が来ていない部分になるので答えられない。」と言われた上、自分たちの準備不足であるにも関わらず「少し時間を置いて、譲渡拒否申請期日までにまた電話をいただけないか。」と再度の連絡を求められたのだ。

きちんと答えられる体制すら出来ていないなんて・・・。

せめて方針が決まり次第、折返し連絡をして欲しい!と、こちらがお願いしたいくらいだった。

この問い合わせをした時点で、譲渡まで残り2週間程度しかなかった。

譲渡を発表しているのに、しかも1ヶ月を切っているのに細かい部分まで内容が確定していない・・・?

そもそも細部まで内容が確定していないのに事業譲渡を決めたというのは・・・?

倒産寸前の企業ならまだしも、健全な企業(公表されている決算公告等を見る限りは業績は決して悪くない)の対応としては本当に信じられなかった。

このような状況から、譲渡直前の大混乱が譲渡後も多少続いているのではないかと推測した。

事実、知人が譲渡後の窓口(旧運営会社側)の混乱ぶりを話してくれた。

知人は新運営会社があまり好きではなかったので、今回の事業譲渡の内容には同意できなかった。

この機会に解約をし、まったく別会社のサービスに乗り換えることにしていたそうだ。

そのため、まずは新運営会社に譲渡されないよう、指定の期日までに旧運営会社の窓口へ拒否申請をした。

それで一旦、旧運営会社にそのまま契約を残した状態にして、落ち着いた時に解約するつもりでいたそうだ。

ところが、譲渡日になって新運営会社へ譲渡されてしまい、新運営会社と新たな契約を締結した扱いになってしまったのだ。

旧運営会社側の電話窓口には確かに譲渡拒否の連絡をした記録(オペレーターと知人の会話の録音記録)が残っていたのだが、管理システムの方が対応できていなかったようで(恐らく管理システムの整備も急な譲渡決定で、プログラム的に対応しきれなかったのではないか?)、譲渡日にそのまま新運営会社へ譲渡されてしまったのだそうだ。

旧運営会社側のミスなので、最終的には譲渡を取り消してもらったそうなのだが、そこへ行き着くまでにも一悶着あったとのこと。

その時も窓口(旧運営会社側)がかなり混乱していて「電話では間違いなくお客様から譲渡拒否の申し出を承ったが、結果的にどうして譲渡されてしまったのか原因がわからない。原因の特定と今後どういう対応になるのか、上からの指示待ちの状況だが、何も報告が来ないので現時点では答えられない。どれくらいの時間を要するかも目処が立っていない。」と言わたそうだ。

オペレーターによっては(何度か電話をしたため複数のオペレーターが応対したらしい)、「翌日くらいに目処が立つかもしれないし、数日・数週間・数ヶ月を要するかもしれない。お客様がお困りだと上層部にはその都度伝えているが、とにかく何も返答が返ってこないので、私達も動けなくて困っている。大変心苦しい。」と声からも疲弊している様子が伝わるほどだったそうだ。

知人がこのオペレーターに「私以外にも同じような目に遭っている人はいるのか?」と聞くと、「詳細な人数はわからないが、複数名いらっしゃることは確か。」と答えたそうだ。

最終的には数日で譲渡取り消し手続きが完了し、後日一連の対応についての謝罪が書面で届いたそうだ。

この混乱に振り回されたと思われる方が、まとめサイトや掲示板で専用スレッドを立ち上げ、旧運営会社側の対応の流れや窓口との電話での生々しいやり取りの内容を公表する動きも見られた。

上層部が経営判断を急いだ結果、一部の顧客に混乱と不快感を与えてしまった・・・少なからず信頼を失ったと言える。

ただ先述の通り、今回の譲渡ではサービス内容・価格ともに変更がなく、運営会社が変わったこと以外に変更がない。

運営会社が変更になることに全然気にならない利用者にとっては、何の悪影響もないことである。

また言うまでもなく、旧運営会社が設置の窓口のオペレーターが無愛想で苛立ち気味というのは私の感覚に過ぎず一般論ではない。

譲渡の直前・直後の混乱を除けば、その後はサポート窓口としてはきちんと機能していることを付け加えておく。

とても長くなり、また途中で話がかなり脱線してしまったが、この件はこれまでとする。

最後まで読んでくださった方に感謝する。

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