記事公開日:2026年07月19日(日)
インターネット光回線(以下、光回線)で1ギガ(1Gbps)コースに申し込んだところ、「あなたの物件は1ギガに対応していないため、提供速度は100メガ(100Mbpsで、1Gbpsの10分1の速度)となります」と言われた。
実は比較的築年数の古い物件ではよくある話で、決してトラブルではない。
2020年頃から10ギガの光回線も登場しているというのに、1ギガにすら対応していないなんて・・・。
原因は建物の設備にある。
光回線はNTTなど事業者の収容局から利用場所の物件までを光ファイバーで結んでいる。
ビルや集合住宅の場合、事業者の収容局から1階まで光ファイバーで来ており、そこからこの光ファイバーを分配し、物件内の配管設備を通って各フロア・各部屋へ敷設する仕組みになっている。
ところが築年数の古い物件では既設配管内が他の配線で埋まっていて、光ファイバーを通すための新たなスペースが確保できないことが多い。
インターネットがない時代に建てられた物件は、新たに多数の配線が通ることになるなんて想定もしていないだろうから無理もない(多少の配線増加には対応していると思うが、何十戸という部屋の分までの線の束が通る想定はないだろう)。
ビル全体に新たな配管を作れば光ファイバーを敷設できるだろうが、配管整備は事業者ではなく物件側の費用負担となる。
インターネットだけのために多額の費用負担をする物件はまずないだろう。
そのような物件は1階までは事業者の収容局から光ファイバーでつながっているが、前述の理由から各フロア・各部屋までは光ファイバーを敷設できないため、既設の配線設備を使うことになる。
その既設の配線設備とは電話線(メタルケーブル)だ。
電話線は古い物件でも必ず敷設されている配線だ。
事業者の収容局から来た光ファイバーを1階の設備室まで引き込み、事業者が設置する集合装置と呼ばれる回線を各部屋に分岐させる専用の装置に接続。
この集合装置で信号処理し、ここから各フロア・各部屋へ既に分配済みの電話線を使う。
このような方式を事業者ではVDSL方式(VDSLはVery high-speed Digital Subscriber Lineの略)と呼んでいる。
各フロア・各部屋へ光ファイバーを敷設する必要がなくなるため、新たな配線工事の必要がない!
じゃぁ光ファイバーなんて無くてもいいね!
決してメリットばかりではなく・・・ここで記事冒頭の「100メガ」という話が出てくる。
既設の配線を使うことで大規模な工事は不要になるが、電話線を利用した通信速度には限界があり、1ギガの10分の1となる100メガが限度。
近年はVDSLにも高速通信規格「G.fast」というものが登場しており、この場合だと最大600メガとなるが、それでも1ギガに比べると最高速度が4割減だ。
一部事業者しか提供していない上、対応物件もかなり少ないのが現状である。
どのVDSL物件でも対応しているわけではなく、「G.fast」専用の機器を設置する必要があるのだ。
正直なところ、「G.fast」は現状普及が進んでいるとは言えない。
ただ誤解があってはいけないので明記しておくが、VDSL方式は使い物にならないサービスでは決してない。
本来の光回線の能力を十分に発揮できない環境というだけであって、日々のネット利用に支障が出るレベルではない。
光ファイバーが登場したのは2000年代に入ってすぐなので、それ以前に建てられた物件は光ファイバーを通す前提では造られていないが、たまたま配管に余裕があった場合は築年数の古い物件でも光ファイバーに対応していることもある。
事業者の光回線申し込みサイトでは物件ごとの回線対応状況が確認できるため、これから物件を新たに探す方でVDSL方式の物件を避けたければ、物件を決める前に調べることをオススメする。
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