記事公開日:2023年07月03日(月)
最終更新日:2024年07月15日(月)
【おことわり】
当ブログ記事の内容はすべて記事最終更新日時点の情報であり、今後企業の方針で変更となる場合がある。必ず公式サイトでの情報確認もお願いしたい。また「現在」「現時点」という表記に関しても記事最終更新日を基準としている。
2020年以降、NTTドコモ(以下ドコモ)を中心としたNTTグループ内の事業再編が実施され、ドコモ運営のインターネットサービスプロバイダー(以下ISP)が複数になったことを以前記事にし、今後どうなるかの予想も書いた。
その時の記事とNTTグループ内事業再編などの詳細は過去記事 こちら
2023年7月1日で事業再編が一段落したので、当記事では各ISP「OCN」「plala(ぷらら)」「ドコモnet」「mopera U」がどうなったかを書きたいと思う。
先に結論を書くと、ドコモは今後ドコモ光回線を中心に「OCN」ブランドを全面的に売り出していくようだ。
【ドコモnet】
2015年3月1日:ドコモ光の提供開始と同時にドコモ光専用ISPとして誕生しサービス提供を開始。
2023年6月30日:新規受付とドコモ光内の他ISPからの変更受付を完全に終了。
2023年7月1日:契約中のユーザー(6月30日時点で申込み済みのユーザーを含む)へのみ引き続きサービス提供を行っており、引っ越し等の各種手続きは引き続き可能。
提供開始から僅か8年4ヶ月、当初から一貫してドコモ光専用ISPだったため、今後は新規ユーザーが増えることは一切なくなった。
【plala】
2019年7月1日:plalaの運営会社NTTぷらら(以下ぷらら)がドコモの完全子会社に。
2022年6月30日:「ぷらら光」(光回線とISP「plala」をセットで提供)の新規受付終了。
2022年7月1日:ぷららがドコモに吸収合併。plalaはドコモ直営ISPに。
2023年6月1日:ダイヤルアップ接続コースの「ぷらコミ3」「ぷらコミ5」「ぷらコミ10」「ぷらコミ20」「ぷらコミ30」「レギュラープラン(スペシャルセット)」「レギュラープラン(インターネットセット)」「レギュラープラン(ぷららライト)」の新規受付終了。同年11月30日までに、メールアドレス・オプションサービス専用プランの「ぷらコミ0」に切り替えた場合は引き続きplalaとの契約が継続となり、手続きをしない場合は同日をもってplala自動解約。
2023年6月30日:ドコモ光向けコースの新規受付終了。ただしNTT東日本・西日本(以下NTT東西)のフレッツ光などで、plalaや「So-net」とのISP契約があるユーザーがドコモ光へ乗り換える場合に限り、2024年2月29日まで申し込みを受け付けた(So-netは2019年6月30日をもってドコモ光向けISP事業から撤退。plalaに事業譲渡をした関係から、So-netユーザーがドコモ光へ乗り換える場合は「plala Sコース」というISPになる)。
2023年10月31日:NTT東西の窓口を通した「ぷらら光メイト withフレッツ」(フレッツ光回線とISP「plala」が紐付けされ合算請求となるコース)の新規受付終了。ただしフレッツ光クロス回線の場合のみ、2024年3月31日まで新規受付を継続した。
2023年11月30日:「ぷらら光メイト withフレッツ」、ぷらら光セット(ISP「plala」のみ契約のコース)、フレッツ・ADSLセット、フレッツ・ISDNセットなど、NTT東西のフレッツの各回線に対応したコースの新規受付終了(このうち「ぷらら光メイト withフレッツ」と「ぷらら光セット」については、フレッツ光クロス回線の場合のみ、2024年3月31日まで新規受付を継続した)。ダイヤルアップ接続機能の廃止。ダイヤルアップ接続コースである「ぷらコミ3」「ぷらコミ5」「ぷらコミ10」「ぷらコミ20」「ぷらコミ30」「レギュラープラン(スペシャルセット)」「レギュラープラン(インターネットセット)」「レギュラープラン(ぷららライト)」の提供を完全に終了し、メールアドレスやオプションサービス専用の「ぷらコミ0」に切り替えたユーザーは引き続きplalaの会員に、切り替えなかったユーザーはplala自動解約。
2024年2月29日:ドコモ光向けコースへのコース変更と、「plala Sコース」への申し込み・コース変更の受付終了。
2024年3月31日:フレッツ光クロス回線向けの「ぷらら光メイト withフレッツ(クロス)」と「ぷらら光セット(クロス)」の新規受付終了。これにより、plalaの全インターネット接続コースの新規受付が完全に終了。
上記ダイヤルアップ接続コースを除く各コースは、新規受付終了日までに申し込み・契約済みのユーザーへは今後もサービスが提供され、各種手続きも可能。
こうした状況により、今後plalaへ新規申し込みできるユーザーはメールアドレスのみを提供する「ぷらコミ0」のユーザーに限られることから、plalaのユーザー数の増加を止めてISPの規模を縮小させ、ドコモ運営のISPと新規契約する場合はOCN一択にし、ユーザーの流れや主軸をOCNへ向くようにしていくことが伺える。
そうすることで段階的ではあるが、OCNブランドへ統一して1つのISP運営に注力できるようになるだろう。
なおフレッツ光クロス回線のみしばらく新規受付を継続していたのは、OCNが他のISPより10Gbpsコースの提供が遅かったからと推測する。
しかしながらOCNも2023年7月1日からドコモ光向け、2024年3月1日にはahamo光向け、同年4月1日からはフレッツ光向けにも10Gbpsの提供を開始し、一定の環境が整ったことから新規受付終了に踏み切ったのだろう。
【OCN】
今後も新規受付を継続し、ドコモ運営のメインISPとしてサービス展開されるが、全く動きがなかったわけではない。
2022年1月1日:OCNの運営会社NTTコミュニケーションズ(以下NTTコム)がドコモの完全子会社に。
2022年7月1日:NTTコムの個人向け事業がNTTレゾナント(以下レゾナント)へ移管。レゾナントがドコモの完全子会社に。法人事業は引き続きNTTコムが運営。
2023年6月30日:「OCN光」(光回線とISP「OCN」をセットで提供)と「OCN for ドコモ光」(ドコモ光回線向けの接続コース)の新規受付終了。
2023年7月1日:OCNインターネット(ドコモ光回線対応ISP)の新規受付開始。1Gbpsに加え、OCN初となる10Gbpsコースを提供開始。ahamo光1Gbps(ドコモのahamo回線の契約者のみ契約可。この時点では10Gbpsは未提供)の提供開始。レゾナントがドコモに吸収合併。OCNの個人向けサービスはドコモ直営となり営業本部OCN部に編入。
2024年3月1日:ahamo光10Gbpsの提供開始。
2024年4月1日:OCN光withフレッツ クロス(フレッツ光クロス)にも10Gbpsの提供開始。
2024年7月1日:ドコモの組織変更で営業本部はスマートライフカンパニーと統合の上、コンシューマサービスカンパニーに。同時にOCN部の名称は消滅した。
上記の終了する各サービスもドコモnet・plalaと同様、申し込み・契約済みのユーザーと契約中のユーザーへのサービス提供は今後も継続し、各種手続きも可能。
また前述のplalaとは違い、NTT東西のフレッツ光向けの接続コース「OCN光 with フレッツ」(フレッツ光回線とISP「OCN」が紐付けされ合算請求となるコース)・『OCN光「フレッツ」』(ISP「OCN」のみ契約のコース)は従来通り新規受付を継続。
OCNはドコモ主力のISPとして展開され、今後も新規受付を継続すると思われる。
ただここで疑問が湧く。
ドコモ光向けISPは今後OCNメインで行く一方で、何故ドコモ光向けの接続コースであるOCN for ドコモ光の新規受付を打ち切り、OCNインターネットをわざわざ新設したのか?
これについては、決してドコモ光+OCNの組み合わせを終了させたわけではない。
2023年6月30日までに申し込みを済ませたユーザーはOCN for ドコモ光だが、同年7月1日以降に申し込みのユーザーは「ドコモ光+OCNインターネット(以下、OCNインターネット)」となり、料金も200円(税抜き)安くなる。
では内容をリニューアルして、コース名変更+値下げをするということか?
調べてみると非常にややこしく、OCN for ドコモ光とOCNインターネットは別商品の扱いとなるようだ。
同じドコモ光とISP「OCN」の組み合わせでありながら、2023年7月1日以降も別々に残る上に自動移行とはならない。
しかもOCN for ドコモ光 → OCNインターネットへの切り替えにはドコモショップ(店頭窓口)かドコモインフォメーションセンター(電話窓口)での申し込みが必要で、通常のドコモ光内のISP変更時と同様の事務手数料3,000円(税抜き)が発生するというのだ。
これはドコモ公式の回答で判明しており、先日の記事にて詳しく書いているのでご参考に こちら
なので内容リニューアルではなく、「OCN for ドコモ光は2023年6月30日で廃番、翌7月1日以降はOCNインターネットが後継商品になるので、新しい方が良いという契約者は自己負担で移ってね!」という感じだ。
もしもコース名称の変更や負担金無しの自動移行なら、内容確認のための問い合わせは多少あったとしても、月額料金が200円下がるわけだから、特に問題にするユーザーはいないだろう。
だが現状は2023年6月30日までに申し込みのユーザーは、それ以降のユーザーより月々200円高い状態が続き、自動移行しない上に変更手続きに手数料3,000円までかかる。
月々200円の価格差は1年で2,400円、2年では4,800円にもなり、20ヶ月毎にドコモ光マンションタイプA(2年定期継続の場合)の1ヶ月相当分4,000円(税抜き)を超える。
素直に手数料3,000円を支払ってOCNインターネットへ変更したとしても、プラスに転じるのが16ヶ月後からである。
全てはドコモ内の事業再編によるもので、完全に同社やNTTグループ内の都合で起こったことだ。
これは問題にするユーザーが出てくるのではないだろうか?
本件に該当しない私でも一方的過ぎると感じる。
ドコモ側がOCN for ドコモ光 → OCNインターネットへ自動移行の対応を取るべきではないだろうか?
自動移行の対応がシステム的に無理なのであれば、各自申し込み手続きが必要な代わりに手数料無料で切り替えできるようにするか(ケータイの新料金プランが出た時のように、旧プラン → 新プランを手数料無料で)、OCN for ドコモ光のままでも値引き対応で請求時に200円割り引き処理をするか、あるいはdポイント(ドコモのポイントサービス)で200円相当を付与するか、柔軟に対応すべきではないだろうか?
【mopera U(モペラ ユー)】
元々モバイル通信専用のイメージが強いISPであるため、今後も他のドコモ運営のISPとは区別するのだろう。
2024年3月31日:「Uライトプラン」(ドコモFOMA回線専用プランでメールアドレスの提供はなし)、「Uスーパーライトプラン」(ドコモFOMA回線定額データプラン128Kbps[バリュー]含む)専用プラン)、「ビジネスmoperaインターネット」(インターネットの利用をVPN接続による接続のみ許可したり、不適切サイトへのアクセスをカテゴリ制限やアクセス先を指定して遮断できるサービス)、「ビジネスmoperaテレメトリ」(遠隔地にある計測器のデータをドコモFOMA回線を使って設置企業へ通知するサービスで通信速度は最大16Kbps)の新規受付終了。
2026年3月31日:「Uライトプラン」「Uスーパーライトプラン」「ビジネスmoperaインターネット」「ビジネスmoperaテレメトリ」のサービス終了。
「Uライトプラン」「Uスーパーライトプラン」「ビジネスmoperaテレメトリ」に関しては、ドコモのFOMA回線(3G回線)のサービス自体が2026年3月31日で終了のため、それに伴うものと思われる。
「ビジネスmoperaインターネット」に関しては、ドコモの法人事業を担当するNTTコミュニケーションズ内に同等のサービスがあることから、集約するためと思われる。
その他の「Uスタンダードプラン」(ドコモXi・FOMA回線対応プランでメールアドレスを1個提供)や「シンプルプラン」(ドコモXi回線専用のプランでメールアドレスの提供はなし)、『U「Bフレッツ/フレッツ光ネクスト」コース』などについては新規受付終了のアナウンスはされていないため、ドコモnetのような全面的に新規受付を終了する処置は取らないようだ。
余談だが、ドコモ運営という視点ではmopera Uが最も古い。
mopera Uは2005年5月24日にサービスを開始した。
前身のmopera時代も含めると、1998年10月から一貫してドコモ運営である。
歴史的にはOCN(ISP提供開始は1996年12月で、当時は分割前のNTTが運営)やplala(会社設立は1995年12月18日、ISP提供開始は1996年10月)の方が古いが、これらがドコモ運営になったのはplalaは2022年7月1日、OCNは2023年7月1日のことである。
【今後も新規受付を継続するサービス】
2023年7月1日以降も変わらず新規受付を継続する接続コースもある。
前述したが、OCNはNTT東西のフレッツ光回線向けの接続コースは今後も新規受付が継続される。
皮肉なことにドコモ光やOCN光、ぷらら光など光コラボレーション回線(以下光コラボ回線)のユーザーが影響を受け、光コラボ回線に乗り換えずにNTT東西のフレッツ光回線を継続利用しているユーザーはほとんど影響を受けていない。
光コラボ回線とは何か?については過去記事で解説している こちら
他に一部の契約者にしか提供していない有料オプションサービスについても書いておく。
ぷらら光とドコモ光+plala契約者(plala Sコースの契約者は不可)にのみ提供している「PLALA GGGG光オプション」(インターネット混雑時も低遅延の環境を提供するサービス)は2023年7月1日以降も特に条件の変更はなく新規受付を継続している。
ただし、ぷらら光とドコモ光+plala自体は既に新規受付を終了しているため、今後はこれらの契約者がオプションサービスの追加でPLALA GGGG光オプションを契約するケースしかなく、どれほどの増減があるかは未知数だ。
ドコモ内の事業再編とISPの整備は2024年前半で一段落すると思われるが、OCNのフレッツ光回線向けの接続コースや有料オプションサービスなど、メスが入らなかった部分は今後何らかの変更があるかもしれない。
特にフレッツ光回線向け接続コースは、事業再編以前から変更が加えられていない。
近年の光コラボ回線へ移行するユーザーが年々増えている現状(現在はフレッツ光回線よりも光コラボ回線の方がユーザー数が多い)を見ると、今後何らかの変更があってもおかしくはないだろう。
plalaが一切のインターネット接続コースの新規受付を終了させたのは、今後新規契約はOCNブランドへ統一するための段階手段だと思っている。
【新規受付終了サービスの今後】
完全に新規受付を終了したOCN光・ぷらら光・OCN for ドコモ光・ドコモnetなどのサービスは、今後ユーザー数が増えることがないため、解約や他光回線への乗り換え等で減少に転じることは間違いない。
減少が進むと、例えば「OCNインターネット」へ統合される日が将来的には来るかもしれない(その将来が近いか遠いかは分からない)。
ただもう一度書いておくが、ドコモは現時点では新規受付終了のいずれのサービスに関しても継続して利用できると案内している。
ちなみにOCN光・OCN for ドコモ光・ドコモnetよりも1年前の2022年6月30日に新規受付を終了したぷらら光は、年数が経過しているが現在も継続提供されているので、この点を見るとすぐには動きはないと言えるのではないだろうか?
何か動きがある場合は、必ずドコモから何らかの形でアナウンスされるはずだ。
こまめに各サービスの公式サイトを確認されることをオススメする。